GEISAI TAIWAN#1

GEISAI TAIWANによせて

台湾台北でのGEISAI TAIWAN#1開催を、心から喜ばしく思います。
台湾の皆様、こんにちは。
アーティストの村上隆です。

私は今回の台湾とのご縁を、心から感謝し、心から喜ばしく感じています。

なぜ、日本のアートイベントGEISAIがこうして台湾にまで来る事になったのかの訳をお話し致します。

一昨年、私の著書「芸術起業論」が台湾で翻訳,出版されました。 その時に訳を担当して頂いた方が、台湾の企業であるAZIO ENTERTAINMENTの日本支社社長・江明玉さんでした。

江さんは私との初の顔合わせの時、こう言いました。「私は村上さんの事が嫌いでした。でも、この翻訳をさせて頂いてから村上さんの見方が変わりました。正直で大変ですね」この一言を流暢な日本語で言われた時、私は江さんと、不思議な縁を感じました。

その後、「芸術起業論」が台湾で翻訳,出版され、講演会を企画実行して頂いたりして、お互いが少しずつ深く知り合って行きました。その後、日本でのGEISAIの運営も江さんと、AZIO ENTERTAINMENTの日本支社にお手伝い頂いて、その流れで今回こうして台湾での開催への導線が引かれたのです。

彼女と私の中で共通の大きい志があります。それは国際間の文化交流への熱意です。私はアーティストとして活動し、アートを媒介として色んな国へ日本のアートを紹介する事がメインの仕事を行って来ました。江さんは、日本へ台湾の芸能人の興行を持って来たり台湾や中国本土等に日本のアイドル興行を持って行ったりと言うお仕事をしておりました。 それらは仕事としてクールにこなすだけではない強いパッションを持って行う事で、より理解の深度が掘り下げれると言う事をお互いに理解し合っている気がしたのです。

そうこうしているうちに、AZIO ENTERTAINMENTの日本支社の本社、台湾土地開発のきゅう会長を説得して下さり、全面的なスポンサーシップを取り付けて頂き、GEISAIが台湾で大々的に開催される事になったのです。今現在、準備段階において、プレゼンして頂いている台湾GEISAI♯1は日本のGEISAIもびっくりするような、きらびやかなイベントになりそうで、興奮し過ぎて胃袋が口から飛び出しそうです。

GEISAIは本当に自問自答の多いイベントです。日本はアート後進国なのにそういった姿を理解したく無いようで、いつまでも西欧を真似したアートイベントを行っては失敗し、そしてGEISAIへも無視を決め込まれ、なかなか立つ瀬もありません。結構辛い環境で運営して来ました。会社が倒れる程の重荷になったこともありました。

しかし、約8年間ネバーギブアップでやって来ました。そしたら、こうした素敵な出会い、江さん、きゅう会長らとの出会いがマジックを運んで来てくれたのです。

僕が若いアーティストの人たちに向かって言いたいのは、「本当に自分にとって大事なことってなんだろう?」っていうことを考えて実行し続けて来て、それが社会的に正しいインパクトがあるならば必ず、わかってくれる人に出合える。だから、信じて、負けないで、一心不乱に頑張って!と言いたいですし、きゅう会長、江さんにも心から感謝をしたいし感謝以上の友情の絆を結んでくれたアートの神様、、、みたいな
そうとしか言えない状況に「ありがとう」と言いたいです。

アートというのは、一つのコミュニケーションの道具だと思っています。こういうイベントそのものもアートだと思いますし、皆さんと一緒に楽しい時間、興奮する時間をすごすのもアートだと思います。そしてその興奮する時間というのは生きていないとできないことです。 死んでからじゃできない。

芸術というのは、死人の遺したものを見て楽しむのがほとんどの分野ですけれども、お互いに生きている人間が、喜びを共有できるような芸術というのは、こういうライブの醍醐味です。

なので、失敗しようが、うまくいかなかろうが、自分の思い通りに行かなくても、ひたすら、自分が社会と自分の価値観において正義であると思ったことは、ぜひやり続けみましょう。 そしたら、いつの日か自分のことを理解してくれる人が現れて、その人と手を取り合って、辛い道のりも楽しく生きていけるんじゃないかと思います。

GEISAI TAIWAN#1、1回目は、そういう友情の証として、台湾の人間と日本の人間の友情の証として生まれました。この軌跡をまた2回目、3回目と続けていくことができることを、心より願いつつ、台湾の芸術家の卵の皆さんと共に大いに興奮して、最後にはみんなで手を取り合って涙でも流して、また来年のGEISAIの開催を誓うことにしましょう。

それでは会場でお会いしましょう。

チアマン 村上隆

(GEISAI TAIWAN#1 パンフレットより)