皆様、こんにちは。 村上隆です。
去年から台湾の地でご縁を頂いて、こうして台北市でGEISAI#2を開催させて頂き、台湾の皆様とARTでの深い交流をさせて頂ける事はこの上ない喜びです。八百万の神様達に感謝!
GESIAIのメインスポンサーである台湾土地開発とbigartさんら共に2010年はkaikaikikiギャラリーをこの台湾の地に設立し、展覧会の制作やイベントの企画を6月から半年間、毎月のように開催し続けて来ています。
毎月、4~5日台湾に滞在し、展覧会を制作し、多くの台湾ARTシーンの人々ともお会い致しました。少しずつ、台湾のART事情も理解し始めて来て、若いデヴュー前の皆さんが抱えている問題点を少しだけシェア出来てるような気がしています。
去年GEISAI台北で知り合った若いアーティストの皆さんが持っているフラストレーションのメインイシューは「コネで決まってしまうキャリア」というモノらしいです。つまり、美術大学の先生の口利きや、家族や育ち、で発表するギャラリーや顧客が決まってしまい、素人がデヴュー出来ない、出来ても成功し辛い、ということだったらしいのです。
日本もほんの40年程前には同じ問題を抱えていて、その当時は、「絶対にそうした状況から脱出出来ない!」という閉塞感が満ち満ちていたようなのですが、2010年の今現在、そういった軋轢等全くありません。
0(ゼロ)です。なので、台湾のART界もそういった悩みは解決する日は近いはずです。
問題はそういった表層的な部分ではなく、作家自身の作品制作までのマインドトレーニングや実際の技術の修練。 実力の査定軸の設定かとおもいます。 どのようにしていったら作家としての成長を促進させるプロセスを造って行けるか。
まずは、GEISAIのようなコンペ形式も一つの方法ですが、それよりも自分は何者か、という問いかけを自分自身に出来るか否か。
なぜ、作家(アーティスト)になろうと思ったのか。 自分の表現したい事象は何か?自分の居るこの場所は? 産まれた国は?その国のおかれた状況は?その事に対する自分のリアリティとの距離は? アーティストになって何をしたいのか? 有名になりたいだけ? 社会とどういった関係をとりたいのか?
と言う部分こそ、皆さんと共に考え、実行して行くべき道の模索をして行くべきかと思います。
「死ぬまで芸術やりますか?」GEISAIの標語です。 10年前に掲げました。
死ぬまで芸術のあれこれを模索し、芸術作品を造って行く事へ誠意を持ち続けれるか。 私は自分自身への自戒の言葉として、そして若い芸術家達へのメッセージとしてこの標語を掲げました。
この標語のもと、本当の自分の心に問うて、嘘偽り無き作品制作、生活態度、芸術への誠意を貫けるのか。
理想を掲げて短期間で挫折するのではなく、一生かけて行う闘争。それが芸術を続けて行く人、芸術家、だと思います。
GEISAIはそんな芸術家の人々を応援し(と、言っても甘やかすのとは違いますよ!)へこみそうな気持ちを盛り上げるイベントです。
是非、楽しんで行ってください。
そして、一生付き合える「仲間」を探してください!
チアマン 村上隆
(GEISAI TAIWAN#2 パンフレットより)